2020年4月28日火曜日

牧村健一郎『評伝 獅子文六』

新型コロナウイルスの騒ぎで、多くのイベントが中止や延期になっている。
大相撲春場所は無観客で開催、中央競馬も無観客で日程を消化している(競馬会の収入の柱は勝ち馬投票券なので大きな影響を受けないという)が、選抜高校野球は中止、東京六大学野球、プロ野球は延期、その他スポーツに限らず自粛の嵐が吹き荒れている。このような状況がはたしていつまで続くのか。
先日、全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止も決定された。今夏の甲子園にも影響を及ぼすだろう。高校野球はすでに各地の春季大会が中止になっている。練習はおろか、新入部員の勧誘もできないわけだから、部活動とはいえ事態は深刻だ。
2月頃、珍しく仕事に追われ(それだけじゃないのだが)、3月になったら行こうと思っていた神奈川文学館の企画展・収蔵コレクション展18「没後50年 獅子分六展」も会期が短縮され、3月3日で終わってしまった。ひさしぶりに横浜に出かけ、餃子、焼売、サンマーメンでビールを飲もうと思っていた。残念である。
昨秋には、この催しのプレイベント的にラピュタ阿佐ヶ谷で「獅子文六ハイカラ日和」と題する古い映画の特集が組まれていた。12月にはシウマイの崎陽軒とタイアップしたちくま文庫『やっさもっさ』が発売され、話題になった。
大衆小説家として一世を風靡した獅子分六もいつの間やら人気が下火になり、忘れ去られそうになっていた。それでも獅子文六を評価する識者、読者による地道な再発見の努力が重ねられていた。筑摩書房による文庫化、映画の特集や「獅子分六展」もこうした流れのひとつ。そしてこの評伝も。
自粛ムードのなか、ステイホーム週間になってしまいそうなゴールデンウィーク(NHKは頑なにこの言葉を避け、大型連休と呼んでいるが)であるが、黄金週間という言葉を生んだ作家に(厳密には映画の原作者に)あらためて目を向けてみるのはけっして悪いことではあるまい。

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