2015年10月15日木曜日

司馬遼太郎『燃えよ剣』

今年もあっという間に夏が終わり、野球の秋を迎えている。
高校野球の秋季大会、大学野球と毎週盛り上がりを見せている。母校の応援と称して都の秋季大会ブロック予選を3試合観る。昨秋、春、そして夏と惨敗した(全試合コールド負け)わが母校は奇跡的なくじ運に恵まれ、初戦、二回戦ともに弱小都立校に勝利し、ブロック決勝にコマを進めた。立ちふさがるのは都立の星小山台。
まあそう簡単には本大会には行かせてくれない。
その小山台も本大会の初戦でコールド負けしてしまった。
そういえば野球の日本代表をいつの頃からか侍ジャパンと呼んでいる。
さて、幕末シリーズ。
勝どきさんのおすすめ、『燃えよ剣』を読む。
新選組に関しては以前大河ドラマで「新選組!」を少し視た程度の知識しかない。新選組好きな人たちが集まる飲み会で「池田屋のときにね」みたいなことばが耳に入るが、なんのことやらさっぱりわからなかった。そういえば今放映中の大河ドラマ「花燃ゆ」にも新選組が登場していた。沖田総司が長州藩(かどうかわからないが)志士たちを切りまくっていたっけ。
今回本書を読むにあたっての大きな目的は新選組であるとか尊王攘夷派の志士たちの位置関係を掌握することにある。なんとも心もとない読者である。
この小説の主人公は土方歳三。新選組局長近藤勇を支えた副長である。鳥羽伏見の戦いの後、榎本武揚らと北海道に渡ったものの、攻めよせる官軍の前についに力尽きた男である。当時の剣豪といえば北辰一刀流、桶町千葉道場の坂本竜馬、神道無念流、斎藤弥九郎練兵館の桂小五郎らが有名だ(なんて知識はそれまで皆無だったけどね)。土方は近藤、沖田らとともに天然理心流という田舎道場の出身。格は数段劣るのだが、軍事的なセンスともって生まれた喧嘩の才能もあいまって、真剣勝負に強かったという。
日本の侍という種族は土方歳三をもって絶滅したのではないだろうか。そんなことを思わせる一冊だった。

2015年10月5日月曜日

司馬遼太郎『竜馬がゆく』

8月の終わりに、仕事でお世話になっている勝どきさん(もちろん仮の 名前だ)と久しぶりにお昼を食べた。
炭水化物を控えるダイエットに取り組んでいるという。ご飯は食べずに、刺身や鯵フライ、さらにはホヤなどつまみばかりを注文してビールを飲んだ。夏の終わりの昼ビール。勝どきさんは何年か前から剣道を習っている。肩を痛めていて、しばらくゴルフはやっていないそうだが、天然理心流の道場へは通っているという。新選組の大ファンなのだ。
江戸幕末〜明治維新を学びたいと思っていたので、その手の話なら相当くわしいであろう勝どきさんに何かおすすめの小説ありませんかと訊いてみた。火に油、駆け馬に鞭、帆掛船に魯。そこから俄然エンジンがかかった。
まずは『竜馬がゆく』、次に『燃えよ剣』を読めという。
前者は倒幕派から見た幕末、後者は佐幕派から見た幕末で、この2冊を読んで、両サイドから理解すれば、幕末〜維新の基礎はじゅうぶんらしい(2冊といっても文庫本にしたら10冊だが)。
というわけで9月から黙々と竜馬を読みはじめた。
それまで坂本竜馬に関する知識はほぼなし。それがかえってよかったのかもしれない。竜馬という人物は剣の達人だとか、薩長の調停役程度の認識しかなかったが、何よりもアイデアマンなのだということがわかった。今でいうクリエーティビティに富んだ人物なのである。
それにどこまでも強運の持ち主だ。あえて危険を冒す。敵陣に単身乗り込んでいく。こうしたことも既成概念にとらわれない発想の豊かさがあるからだろう。
司馬遼太郎はこれまでほとんど読んでいない。
吉村昭のように史実、資料を丹念に読み込んで再構築するというよりは物語を次から次へと動かしていくタイプの作家なのだろう。読んでいるうちにそのスピードに身体が慣れてくる。ページが自然にめくられていく。ファンが多いのもわかる気がした。
それにしても昼のビールは利く。