2012年9月26日水曜日

常盤新平『池波正太郎の江戸・下町を歩く』


6月からはじまった案件がようやく納品に漕ぎ着いてひと段落した。
9月中旬というリミットがまえもって決められているなか、すったもんだがあって、まあなんとかなったわけだ。納期に追われ、途中のチェックでなんどもひっくり返され、文句を言われなどということは仕事をする上でよくあることではあるが、今回はやけに疲れた。
たぶんこの暑さのせいだろう。
気がついたら、オリンピックが終わり、甲子園が終わり、各地で新人戦が始まり、関東学生卓球リーグが終わり、東京六大学野球が始まり、いろんなものが始まって終わっていった。よく昔流行った歌をラジオで聴いたりすると当時をなつかしく思い出しては、ああ、こんな歌がぼくの中を通り過ぎていったんだなあなどと思うことがあるけれど、それは一面的な見方であって、その当時、その歌が流行っていた時代を無為に通り過ぎていったのは実はぼく自身なんだと思う。
そうして人は齢を重ねていくのだ。
東京に残る下町風情なるものもきっとそんな流行歌と変わるものではないだろう。多くの人が通り過ぎていった町はぼくが通り過ぎていった町でもある。
常盤新平は散歩好きな作家・翻訳家であるが、決してプロフェッショナルな散歩作家ではない。池波正太郎の登場人物の視点を借りて、自身と町の距離を巧みに縮めている。
散歩にいちばん必要なのは適度な水分補給と想像力だ。

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新宿駅を出た湘南新宿ラインは山手線と沿うように大崎駅まで行く。大崎を出ると東海道新幹線と横須賀線のガードをくぐって、大きく右手にカーブしていく。それまで並行していた山手線は左に曲がって品川駅をめざす。湘南新宿ラインの左車窓から見えるのがJR東京総合車両センター。かつては国鉄大井工場と呼ばれていた。
しばらくすると湘南新宿ラインは東急大井町線下神明駅付近で先ほどくぐった横須賀線と合流する(ほぼ垂直に交差した線路がすぐ合流することに違和感を感じるのだが)。そこにポイントがあるのだ。住所でいえば品川区西品川一丁目。
今の横須賀線は品鶴線という貨物線だった。文字通り、品川と横浜の鶴見を結んでいた。昼夜を問わずEF15とかEH10など武骨な電気機関車が牽引する貨物列車がガタゴトと走っていたのだ。モータリゼーションの波にのまれ、鉄道貨物が衰退するまでは。
下神明にあるポイントは常磐、千葉方面からやってくる列車と東北、上信越方面からの列車を合流させて関西方面に送り出す役割を果たしてきた。逆向きに考えれば、九州や西日本からやってくる貨物列車を汐留、越中島、亀戸方面と新宿、赤羽方面へと荷分けするポイントでもあったのだ。
昨今クラウドコンピューティングの話題が多い。乗り遅れないよう、いちおう基礎的な知識はインプットしておかなくちゃと思うのでこういう本も読む。横書きの本は読みにくいし、図版の多い本は文章と図を往復するのに疲れる。クラウドの力でもっと簡単に読めないかとも思う。
Dropboxはなかなか使い勝手のいいオンラインストレージで、ドキュメントや写真、資料動画などを保存している。この手の本やネット上の記事を丹念に読んでいる人はもっと便利に使っているにちがいない。まあ、焦らず、使えるところから使っていこう、くらいのゆるい態度で接しているが。
山手線と並行する貨物線は埼京線となり、品鶴線は横須賀線になった。貨物列車は遠い記憶に中で今も走り続けている。