東京六大学野球は春秋のリーグ戦終了後、トーナメントによる新人戦が行われる。
2011年春の新人戦準決勝立教明治戦を神宮球場で観戦していた。2対2で迎えた8回裏、明治は逆転に成功する。なおも満塁でバッターはこの回から救援でマウンドに上がった岡大海。倉敷商のエースとして二度甲子園に出場している。ここは代打だろうと思って見ていたが、そのまま打席に立ち、なんと満塁ホームランを打ってしまったのだ。
岡は2年の秋からリーグ戦で登板するようになった。対慶應二回戦で救援し初勝利を上げている。3年の春には代打で登場し、そのままマウンドに上がったこともあった。四回戦までもつれ込んだ対早稲田戦では四試合に野手で先発し、全試合に救援投手として登板している。打者としては3ランホームランを含む8安打7打点と活躍する(最後は救援で失敗し早稲田に勝ち点を与えてしまうのだが)。
岡が投打で活躍した12年の秋、花巻東の大谷翔平がドラフト会議で日本ハムから一位指名を受ける。栗山英樹に説得され、入団を決意する。この騒ぎの中で「二刀流」という新たな野球用語が定着していく。過去、MLBにもNPBにも投手として打者として活躍した選手はいたが、どちらも主力として持続的にプレーするスタイルはなかったはずだ。
岡は4年生になってからは打者に専念する(一度だけ大差の試合で登板しているが)。日米大学野球にも出場している。13年のドラフト会議で奇しくも日本ハムから三位指名を受ける。二刀流としてではなく、野手として。その後ロッテに移籍し、俊足と勝負強いバッティングは健在だ。
時折ブルペンで投げる大谷を見るとファーストミットをグラブに変えてマウンドに向かう岡を思い出す。
ロバート・ホワイティングが大谷について書いているが、この本は時期尚早な感がある。メジャーで7年を過ごした大谷を彼は今ならどう評価し、どう書くだろうか。新作を楽しみにしている。
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