2025年5月17日土曜日

ロバート・ホワイティング『野茂英雄ーー日本野球をどう変えたか』

ロバート・ホワイティングの本を読んでいるのには理由があって(以前にも書いたと思うが)、3月に行われたとあるパーティーで本人をお見かけしたのである。氏を知っているわけではなく、その友人である故松井清人氏を知っていた。ご近所さんであった。清人氏とは歳も離れていたのでほぼ面識はないのだが、清人氏の母上とはときどき会話を交わしたし、僕の母とも親しかった。そんなこんなでホワイティング氏に声をかけ、翻訳家の松井みどりさんのご主人の実家の近所に住んでいた者です、などとややこしい挨拶でもしたかったのである。
とはいえ、氏の著作を読んだ記憶がない。この本を以前楽しく読ませていただきました、つきましては...と声をかけるのがいいに決まっている。読んでもいないのにいきなり、翻訳家の方と、これこれこういう繋がりがありまして、ではちょっとかっこ悪い。でもまあ、そのうちまたお目にかかれる機会もあるかもしれない。そのときに著書を何冊か拝読しましたとスムースに挨拶できるように読んでおこうと思ったのだ。
ホワイティング氏はMLBの生き字引みたいな人で一人ひとりのプレーヤーをきちんと見ている。多くの日本人メジャーリーガーに厳しい目を向けながらも、野茂、イチロー、松井秀喜、井口資仁を評価している(もちろん厳しく見るところもある)。とりわけ開拓者である野茂には好意的で同じ考えを持っている僕は大いに共感できるのだ。野茂が日本プロ野球にノーを突きつけ海を渡らなければ、後に続く日本人メジャーリーガーは生まれなかった。著者は野茂の野球殿堂入りの議論さえ掲載している。反論も多いが、これは過度の期待を持たせないためという意図が感じられる。おそらく彼に投票権があれば間違いなくイエスと答えるかのようだ。
さて、読み終わって、いつも通り読書メーターに登録しようとした。そこでようやく気付く。2019年に僕はこの本を読んでいたのである。

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