2022年11月6日日曜日

山内マリコ『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』

今年は松任谷由実デビュー50年にあたるという。テレビやラジオに出演する機会も増えている。アーティスト生活50周年を記念するアルバムも発売された。タイトルは「ユーミン万歳!」、CD3枚に51曲が収録されている。デビュー50年という俳優や歌手、タレントはこれまでも多く見てきたけれど、ユーミンよ、おまえもかと思うと少し感慨深い。
7月にラジオでリスナーのリクエストで選ぶユーミンのベスト50という企画がオンエアされた。1位は「守ってあげたい」だった。50年も第一線で活躍しているとファンの年齢層も幅広い。ベストを選ぶというのもなかなかたいへんだ。僕の世代の前後、70年代後半から80年代前半に高校生や大学生だった人たちなら、アルバム「SURF&SNOW」「PEARL PIACE」「VOIGER」「NO SIDE」あたりに収録された楽曲の人気が高いのではないかと思う。僕はどちらかというと荒井由実時代の曲が好きで、「ひこうき雲」~「14番目の月」をよく聴く。
ラジオを聴いていたら、作者である山内マリコが出演している番組があって、この本が上梓されることを知った。
幼少のユーミンが成長して、アルバム「ひこうき雲」を完成させるまでのお話。もちろん小説と銘打っているとおり、フィクションであるだろうけれど、どこまで創作でどこまで事実かわからない。ユーミンは少しずつ大人になっていくなかでその後のヒット曲のヒントになるような出来事や風景に出会う。それはそれでありそうな話であるが、これらは創作のにおいがする。散りばめられたエピソードの数々は丹念に取材をしたのだろう。後々にうまくつながるようになっている。60年代後半の音楽シーンも精細に調べられている。
足の悪い同級生が登場する。シングル曲「ひこうき雲」誕生に関係している。ここがいちばん印象的だった。このエピソードが創作であるとしたら、とてもいい小説だと思う。

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