2022年1月16日日曜日

カート・ヴォネガット『青ひげ』

昔の読書記録を見ると、カート・ヴォネガット(・ジュニア)を好んで読んでいたのは1987年頃となっている。読書記録といっても、読んだ年月と著者名タイトルを記しただけである。感想などは書いていない。それでも今となってみれば貴重な資料だ。
多少の寄り道はあってにせよ、1985年に大学を出て、テレビCM制作会社でアルバイトをはじめた頃である。それまでは家庭教師や先輩の営むとんかつ店でアルバイトしていた。アルバイトを卒業して、新たなアルバイト生活がはじまったのである(1年後正社員にしてもらったが)。
当時どんな思いで毎日を送っていたのか。その頃読んでいた本を読みなおすと思い出すかもしれないと思い、何年か前から当時読んでいた本を再読している。
邦訳されているカート・ヴォネガットの小説はだいたい読んだつもりでいたところ、『ガラパゴスの箱舟』以降、『タイムクエイク』という新作(といってもずいぶん前に出版されている)があることを知り、さらにはその間にも発表された作品があることを知る。それがこの本『青ひげ』である。
アルメニア人の画家の自伝という体裁になっている。ヴォネガットの小説で自伝的な作品は多い(と思うが、そんな気がするだけかもしれない)。たとえば『母なる夜』は、ハワード・キャンベル・ジュニアの自伝である。たしか『ジェイルバード』もそうだった(ように記憶している)。過去と現在。時間を縦横に飛び交う。ヴォネガットの手にかかる時間の旅は読んでいて心地いい。
読み終わって気付く。もう一冊ある、と。『青ひげ』のあとに『ホーカス・ポーカス』という長編が発表されていた。気が向いたら読んでみよう(ついでにいうと『チャンピオンたちの朝食』もまだ読んでいないみたいだ)。
先の読書記録によるとその当時、筒井康隆もよく読んでいたようである。これはアルバイトをはじめたCM制作会社で知り合ったコグレくんの影響を受けている。

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