2022年1月26日水曜日

夏目漱石『行人』

阿佐谷にある小さな映画館ラピュタ阿佐ヶ谷では先月まで「のりもの映画祭出発進行!」という特集が組まれていて、瀬川昌治「喜劇急行列車」と熊谷久虎「指導物語」を観た。なんといっても鉄道の旅は心がおどる。
年が明けて、新たな企画がはじまった。「日本推理小説界の巨匠松本清張をみる」という特集である。松本清張といえば鉄道である。「ゼロの焦点」「点と線」「張込み」「砂の器」…。長距離列車のシーンが目に浮かぶ。たまらなく旅をしたくなる。
恥ずかしい話かもしれないが、夏目漱石の作品をほとんど読んでいない。『こころ』『三四郎』…。中学生高校生の時代にほとんど本を読まなかったせいで、本来持つべき日本の青少年としての基礎教養が著しく欠如しているように思う。あの頃、なんとか文庫の百冊のうち、数冊でも読んでいたら、ひとかどの人物になっていただろうと思うことがある(だからいまさらなんなんだ)。
そうえいば『三四郎』は九州から汽車で上京するところから物語がはじまる。関川夏央が『汽車旅放浪記』で取り上げていた。それがきっかけで20年くらい前に読んだ。三四郎に興味があってというより、三四郎が乗っていた長距離列車に惹かれたということだ。寝台列車で九州に行ったことは、残念ながらない。長崎でも佐世保でも西鹿児島でも、いちどブルートレインで旅してみたかった。大人になったら、そのうちできるだろうと思っていたが、そのうちに寝台特急列車がほとんどなくなってしまった。
東京と札幌を寝台列車で往復したことがある。これはこれでよかった。11月の終わりころ。青函トンネルを抜け、はじめて見る北の大地にうっすら雪が積もっていた。
大阪を訪ねた二郎は、遅れてやってきた母と兄一郎夫婦と合流する。しばらく滞在して、和歌山などに出かける。そして帰京する際、大阪から寝台列車に乗る。
その昔、寝台急行「銀河」で大阪に行ったことを思い出した。

0 件のコメント:

コメントを投稿