2021年12月5日日曜日

カート・ヴォネガット『ガラパゴスの箱舟』

仕事の合間に隣駅まで歩く。普通に往復すれば3キロ程度のところを少し贅沢に遠まわりし、4キロを47分。遅くもないが速くもない。
先日もヨドバシカメラまで歩いてみた。電車に乗ればふた駅である。これまでも歩いてみよう気はあったが、ルートが複雑そうに思えて歩いたことはなかった。地図アプリで確認すると案外難しそうでない。
幹線道路をしばらく歩く。途中で少し南側の通りを行く。街灯に女子大通りと記載されている。通りの北側に女子大学があった。その先、南へ向かう通りは美大通りと書かれていた。美大はずいぶん昔に郊外(小平)に移ったと思っていたが、まだこの地にも校舎があるらしい。
1980年代、カート・ヴォネガット(ジュニア)の本をよく読んだ。
以前の投稿を見ると93年に『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』を再読している。7年ぶりに読んだと書いてある。「ヴォネガットの作品でとりわけ好きなのは、『ガラパゴスの箱舟』と『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』の2冊」とも記している。
好きな作品のもう一冊を読む、35年ぶりに。
この本はヴォネガットの代表作と言われている。おもしろさもひとしおだ。20代に読んだものを60を過ぎて読み直し、さらにおもしろいと感じたのだから。
僕のなかで80年代のヴォネガットブームはこの本でひとまず落ち着いた。その後読んだのは『タイムクエイク』、2019年まで新作を読むことはなかったのだ。ヴォネガットはこの本を世に出した10年後、2007年に他界している。そんなことすら知らなかった。ベートーベンの第九交響曲は書けなかったけれど、それに勝るとも劣らない作品を書き続けてきた。
『ガラパゴス』から『タイムクエイク』までのおよそ10年間に書かれた彼の作品をこれからゆっくり読みたいと思う。それで言うのだ、長生きはするものだと。
ヨドバシカメラまでは4.34キロ。44分31秒で歩いた。

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