2018年12月15日土曜日

今尾恵介『鉄道ひとり旅入門』

iPadで絵を描くとは実際どんなものか。
ためしに仕事の帰り、銀座のアップルストアに寄ってみる。なるほどと思う。専用のペン(Apple Pencilというらしい)を使うと筆圧を感知してくれる。強く描けば線は太く、弱く描けば細くなる。線の種類も鉛筆やらクレヨンやら多数取り揃えられている。自画像みたいなさえない男の顔を描き、とりあえずは店を出る。
翌日。色をつけたり、レイヤーを重ねるにはどうしたらいいのか気になる。アップルストアに行こうと思ったが、「昨日の人がまた来てずっと絵を描いてますよ」などと思われるのも癪に障るので、有楽町のビックカメラに行く。インバウンドのお客さんがお目当てのiPadを取り囲んでいる。しばらく待ったが、明日にでも出直すことにした。
毎日猛烈な勢いで本を読んでいるわけではないけれど、読書に疲れるときがある。そんなときはふらっと列車に乗って、どこか知らない町に行ってみる。中央本線の各駅停車に乗って猿橋あたりまで行って桂川の鉄橋を渡ってみたい。東海道本線の各駅停車で根府川まで行ってみたい。駅から海を眺めてみたい。とはいえ、電車賃も案外高いから、旅に出た気分に浸る。鉄道旅行や町歩きの本が絶好の友となる。たとえばこの本みたいに。
iPadで絵を描くことに関しては不安もある。もしiPadで絵を描くようになったらもう紙の上に描けなくなるのではないか、みたいな不安が。便利なものに慣れ親しんでしまうと元には戻れない恐怖がある。洗浄装置の付いていないトイレのように(たとえがすでにかっこわるい)。
同じような理由でオートフォーカスのカメラ(というかレンズ)を使いたくない。持っているレンズのほとんどがマニュアルレンズ(つまりはオールドレンズ)である。カメラにピントを任せた時点でもうあと戻りできないんじゃないか。そんな恐怖に似ている。
I君に話したら、「何言ってるんですか、先輩」と軽く鼻であしらわれた。

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