2016年11月20日日曜日

マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』

今でも町歩きが大好きなんだけど、そのはじまりは小学校時代にさかのぼるんじゃないかと思っている。
ゴムボールで野球をしたり、タカオニやカンケリなどといった低学年的な遊びもしたけれど高学年になってにわかに冒険心が芽生えたんだと思う。学区域を越える、区境を越える。まだ知らない町を見てみたい。そんな気持ちになった。
なんとなくこの辺、みたいな話だとイメージしづらいかもしれない。僕らの冒険の出発点(いわばセントピーターズバーグだ)を品川区の大井町としよう。そこを拠点にあちこち歩きまわったのだ。
今でも憶えているのは区の南西にあたる大田区上池台。僕たちが学校教育以外で接する唯一といっていいメディアを提供していた学研の本社があった。学習研究社の雑誌『学習』と『科学』は当時教科書のおやつとして絶大な支持を得ていた。その生産拠点を(少なくともその場所を)見極めようと小さな旅に出た。
当時、学区域を出ることは大いなる冒険だった。学区域の外は他の学校の生徒児童の縄張りであり、迂闊なことでもしようものなら僕らは生命の保証がなかったからだ。大げさかもしれないが、気分的にはそうだった。
学習研究社はまわり一面畑に囲まれた丘に上にあった。のどかな風景だった。北馬込から夫婦坂を通って行ったと思う。
記憶に残る次の冒険は国電(今のJR東日本)の品川駅と田町駅のあいだにある東京機関区(たしかそんな名前だった)という機関車の基地。これは興味をそそられたね。深夜九州に向かう電気機関車たちが昼間ここで眠っているのだ。
でも歩いていくには遠かった。入口もわからなかった。高輪や三田あたりの線路沿いから、札の辻の陸橋の上から遠く眺めたものだった(後日見学させてくださいと正式に訪問している、皆カメラをぶら下げて)。
20世紀の日本で、品川という小さな町に育った僕らの冒険とはこんなものだ。
トム・ソーヤーほどではないが、見方を変えればトムの冒険よりおもしろかったかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿