2016年11月12日土曜日

村上春樹『風の歌を聴け』

東京六大学野球や東都大学野球は先に2勝したチームが勝ち点1をもらう。その勝ち点の多いチームが優勝。同数であれば勝率で決める。非常にわかりやすいルールである。と同時に春秋のリーグ戦をおもしろくしている。
どのチームにも試合をまかせられる投手がひとりはいる。完投こそしなくても失点を最小限に抑えて、打線が少ないチャンスをものにすれば野球は勝てる。柱になる投手がもうひとりいて第二戦も同様に戦えればすんなり勝ち点はもらえる。問題は一勝一敗のタイになった3戦目だ。
第3戦は1、2戦で活躍した投手が同じように投げられるとは考えにくい。疲労も蓄積されている。お互い後のない戦いに必要以上にプレッシャーがかかる。たいていの場合総力戦になる(プロ野球でもそうだが、学生野球も投手の分業がすすんでいる。初戦に勝ち投手になり、2戦目負け投手になり、3戦目も先発でマウンドをまかされ完投する、なんていう猛者はもうあらわれないだろう)。
そういった意味でも学生野球のリーグ戦を観戦するなら第3戦をおすすめしたい。初戦で完璧な投球をした投手がもろくも打たれたり、打ち崩された投手が見事に立ち直っていたりする。ベンチやブルペンのあわただしい動き、決死の覚悟の応援団などなど。第三戦は見どころ満載だ。
忘れたころに村上春樹を読み直す。
初期の作品はたぶん二回は読んでいるだろうから、これが再々読になるかもしれない。いわば第三戦ということか。
主人公や登場人物がビールを何本も飲んで、クルマを走らせ、煙草を何本も吸っていたそんな時代のお話。もう30年近く以前に南房総の防波堤に寝ころんでビールを飲みながらページをめくった夏の日を思い出す。
東京六大学野球秋のリーグ戦最後の試合となった第三戦早稲田大対慶應大は広島東洋カープにドラフト一位指名された慶應の加藤拓也が圧巻のピッチングで学生最後の試合を飾った。いい思い出になったんじゃないだろうか。

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