2016年11月4日金曜日

村上春樹『女のいない男たち』


読書メモをはじめたのは1990年頃からだと思う。
ワードプロセッサ(ワープロ)からパーソナルコンピュータ(パソコン)に移行したのがたぶんそのあたりでMSDOSのテキストファイル(プレーンなテキストファイルを昔はこんなめんどくさい術語で呼んでいたんだ)に保存しておけば後々何かの役に立つかもしれないと思って読後のメモを書き残すようになった。書いたり書かなかったりしながらかれこれ四半世紀以上続けている。もちろんまだ何の役にも立っていない。
最近は疲れたときに焼肉が食べたいとか、温泉に行きたいと思うようにどうしても読みたい、これだけは読んでおきたい、プレスリーみたいに読ずにいられないという本も少なくなってきた。昔読んだ本をもういちど読んでみたいと思うし、昔読もうと思って何らかの事情で読めなかった本を読んでみたいと思っている。
スタインベックやカポーティ、村上春樹、スチーブンソンの『宝島』などがそうだ。
村上春樹は大半の小説を二回は読んでいると思うけれどもう一回読み直してみたい作家のひとりだ。
その前にまだ読んでいなかったこの本を手にとる。
文藝春秋に連載された何編かを読んでいたのでまったくはじめてというわけじゃないが、村上春樹はきちんと原稿に手を加える書き手なので、初出と変わっているところがあって興味深い。
「ドライブ・マイ・カー」では上十二滝という地名が単行本になってあらわれた(ちょっとした苦情が寄せられたらしい)。『羊をめぐる冒険』で鼠の別荘があった町だ。なつかしい。
「イエスタデイ」も木樽が歌う歌詞が省略されている。版権絡みの面倒を避けたようだ。
「女のいない男たち」に一角獣の像がある公園が出てくる。「貧乏な叔母さんの話」に登場する絵画館前の風景を思い出す。野球を観に行くときその像の前を通る。
今日、ひとり静かに誕生日を迎えた。またひとつ歳をとった。
それはまあしゃあないやろ。

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