2010年5月6日木曜日

スタンダール『赤と黒』

あっという間に大型連休は終わった。
こまごまとした仕事が多く、卓球にも読書にも身が入らない1週間だった。昨日はかつて卓球のやりすぎで腱鞘炎を起こし、さらには痔の手術でしばらく静養していた音楽プロデューサーのM君から近所の体育館で卓球をしませんかとお誘いを受けたのだが、残念ながら打ち合わせに出てしまうのでお断りせざるを得なかった。
年に一度、あるいは二度ほど、バカみたいに長い小説を読みたくなる。連休どきは長モノを読むにはちょうどいい。
『赤と黒』は読んだような気がする。
たぶん、30年ほど前に。ジュリヤン・ソレルという主人公の名は憶えている。が、これは読んでいようがいまいが『赤と黒』の主人公がジュリヤン・ソレルであることくらいはある程度の知識のある人なら知っている。だからその名前を憶えていることが読んだという証左にはならない。だが窓に梯子をかけて昇っていくシーンはなんとなく憶えている。結末はどうだったか、なんてぜんぜん憶えていない。
ならば読もうとぼくの中では評価の高い光文社の古典新訳シリーズを手に取った。はたして梯子を上るくだりはあった。読みすすめながら、以前読んだことをまったく思い出すこともなく読み終えた。ほんとうに昔読んだのだろうか。謎は深まるばかりである。
それはともかくとして終盤になってジュリヤンはそのキャラクターを変えるように思える。ずっとひ弱で陰湿な性格の彼が事件以降カラマーゾフの長男のような豪快な人柄になる。それがちょっと不思議だった。

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