2005年3月8日火曜日

トルーマン・カポーティ『誕生日の子どもたち』

カポーティの少年時代を描いた中短編をもういちど読みたいと思っていた。
表題作と「感謝祭のお客」、「無頭の鷹」(これは少年時代の話じゃないけど)はかつて川本三郎訳で「クリスマスの思い出」は瀧口直太郎訳で読んだことがあったが、「あるクリスマス」と「おじいさんの思い出」ははじめて読んだ。
60過ぎのミス・スックとバディー。ふたりはいとこどうしであり、親友でもある。ふたりの話は何度読んでも心があたたまる。おばあちゃんと孫という構図は梨木果歩の『西の魔女が死んだ』でもそうだったし、よしもとばななの『王国その1アンドロメダハイツ』でもそうだった。カポーティにとってこの世界は想像力的な世界というよりも実体験だったと思う。そのせつなさは本物だ。
「あるクリスマス」は家庭にめぐまれなかったカポーティの父親に対する怒りで彼自身、あるインタビューの中で「クリスマスの思い出」の裏返しだということを言っていたらしい。たしかにたたずまいがまったくちがう。
「おじいさんの思い出」はバディーとスックの話ではないが、スック以外にもバドといういとこがいて彼が祖父役になっている話だという。ただこの短編はほんとうにカポーティの作なのか疑問ももたれているということだ。仮にそうでなかったとしてもぼくにとってはこの本のなかでいちばんカポーティらしい作品であるという気持ちに変わりはない。
(2002.9.26)

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