2005年3月20日日曜日

柴田敏隆『カラスの早起き、スズメの寝坊』

体重が気になりはじめ、徒歩5分の西武線の駅で乗り降りするのをやめ、JRの荻窪駅まで歩くようにした。もちろん風雨の強い日は避けるし、早朝の仕事の際は近くの駅を利用している。
歩いてほぼ30分。これだけの時間があるとさすがに飽きる。でもって家並みを眺めたり、公園に寄ったり、それなりの暇つぶしをすることになる。野鳥観察はそんな日常のなかから生まれたぼくの数少ない趣味のひとつだ。野鳥といっても都内の公園や木立に見られる鳥だから、たかが知れている。スズメだのムクドリだのヒヨドリだの、いわゆる都市鳥の域を出ない。たまにハクセキレイやカワセミを見かけるとその珍しさに感嘆してしまう。時たま種類のわからない鳥を見かけると仕事場にある図鑑で確認する。こうして少しづつ野鳥の名前のレパートリーがひろがってくる。
趣味といってもその程度で、写真を撮ろうなどと考えたら、高額な超望遠レンズが必要になるだろうし、野山に出かけるとなるとそれはそれでめんどうだ。あくまで手近で簡便な娯楽にとどめている。とはいえ、眺めているだけでもなんなんで多少は知識や教養としてのバードウォッチングを身につけてもよかろうと思い、手にとったのがこの本だ。
著者は少年時代から鳥が好きだったらしい。筋金入りのバードウォッチャーというわけだ。野鳥の生態からなにからまったく無知な人間にとっては神様のような存在だ。しかもこの本、副題に「文化鳥類学のおもしろさ」とあり、いわゆる野鳥の専門書ではなく、野鳥の生態をおもしろおかしく(実際におもしろいかどうかは別として書き手の意図は伝わる)人間の文化や生活になぞらえて書かれているので気軽に読める。
ただね、著者が長年書き溜めたものが本になっていることと著者自身がご年配であるせいもあって、書かれている内容がずいぶん昔のことなんじゃないかなあって気がする。おそらくは20年近く前のことが書かれていると思うのだが、果たして文中の場所に行ったら、その鳥は本当に見られるんだろうか。まあ、そんなこと自分でたしかめればいいんだけどね。
(2003.11.13)

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