2023年3月23日木曜日

夏目漱石『二百十日・野分』

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、日本代表は決勝戦でアメリカを降し、2009年以来、三度目の世界一に輝いた。大谷翔平をはじめ、どの選手も一定以上の活躍をした結果である。
鈴木誠也が欠場したのは残念だったが、近藤健介がその穴を埋めた。誠也が出場していたら、それほどまで活躍できなかったかもしれない。村上宗隆も見事に復活し、吉田正尚も岡本和真もコンスタントに働いた。決勝トーナメントで当たりが止まったけれど、ラーズ・ヌートバーは予選突破の立役者になった。それでもいちばんプレッシャーを感じたのは監督の栗山英樹だろう。決勝戦の継投は見事だったが、高橋宏斗や大勢が走者を背負った場面の心境や如何にといったところだ。この試合だけは栗山英樹に大いに感情移入した。
テレビで観た全試合のうち、いちばん印象に残ったのは、準決勝メキシコ戦8回裏に犠牲フライを打って4点目をあげた山川穂高だ。この1点がなければ9回裏の逆転劇は生まれなかったかもしれない。出番は少なかったが、山川はいい仕事をしたと思う。
夏目漱石の初期の中編「二百十日」と「野分」を読む。熊本を舞台にした「二百十日」は戯曲のような会話主体の小説である。あまり多くを読まない僕にはよくわからないが漱石の作品にしてはめずらしいのではないだろうか。
嵐の最中、阿蘇に登るふたり、圭さんと碌さん。圭さんの実家は豆腐屋だという。豆腐屋といえば、中国東北部の馬賊張景恵を思い起こす。最近、浅田次郎の『中原の虹』を読んだばかりだからだ。
漱石の小説にはたびたびめんどくさい人が登場する。『虞美人草』の藤尾、『それから』の代助、『門』の宗助のように。「野分」にも高柳、白井道也と、ふたりもめんどくさい人物が出てくる。あまり人のことは言えないが、めんどくさい人はめんどくさいからきらいだ。
そうそう、果敢に盗塁を成功させた山田哲人も今大会では忘れらない選手のひとりである。

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