2023年3月20日月曜日

浅田次郎『天子蒙塵』

神保町シアターで芦川いづみが特集されていた。
1962年の作品「しろばんば」(滝沢英輔監督)を観た。井上靖の原作は小学生か中学生の頃に読んでいる。御茶ノ水駅で下車し、ギターやサックスを眺めながら駿河台下に向かう。このあたりの風景はあまり変わっていないが、明治大学が高層ビルになっている。明治大学リバティタワーと言うそうだ。見上げると白雲がなびいている。その向かい、かつてカザルスホールのあった建物は日本大学が入っている。
駿河台下の交差点までたどり着く。三省堂書店は改築中だった。仮店舗が神田小川町にあるという。この交差点に三省堂があるのとないのとでは印象がずいぶん違う。
チケットを購入後、カリーライス専門店エチオピアでカレーライスを食べる。8年前の3月に叔父が他界した。映画とカレーライスをこよなく愛する人だった。そういうわけで毎年3月になると頻繁にカレーライスを食べる。スパイスがよく効いていた。
「蒼穹」「中原」「蒙塵」とこのシリーズは題名だけでも未知の言葉を知ることができる。蒙塵とは、天子様が難を避けて逃げ出すことらしい。ふだんの行幸の際は道をあらかじめ清めて通るのであるが、急を要する場合はそれどころではない。頭から塵をかぶりながら進まなければならない。そういう意味らしい。
『蒼穹の昴』で西太后の全盛期を読んだ後、ベルナルド・ベルトリッチ監督の「ラストエンペラー」をもういちど観たいと思った。このシリーズを読みすすめるうちにとうとうラストエンペラーの都落ちにたどり着いた。蒙塵するのは愛新覚羅溥儀だけではない。国民政府に帰順した後アヘン中毒治療をかねてヨーロッパを歴訪する張学良。この旅も蒙塵のように思える。
梁文秀と李春雲が溥儀の旅の終わり(はじまりか?)に立ち会う。玲玲も含め、皆元気そうでほっとした。軍をはなれた李春雷はもう荒くれ者ではなくなっていた。まったくの好々爺であった。

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