2023年1月27日金曜日

井上ひさし『新釈 遠野物語』

映像やゲームの世界ではVR(バーチャル・リアリティ=仮想空間)技術はごく当たり前のものになっている。体験するにはVRゴーグルまたはVRヘッドセットが必要になる。小型の双眼鏡を顔に固定するイメージである。千円台のものから数万円、十数万円までさまざまなタイプがある。驚くべきことにダイソーなど100均の店にも置いてある(機能的にはそれなりなんだろうけれど)。
VRで視聴する映像というか空間は、当然のことながら日常ではあまり体験できない世界になる。飛行機のパイロットになって空を滑空するとか、ダイビングで海中散歩するなどである。行ってみたいけれどなかなか実現できない世界の秘境を訪れる旅体験なども可能だ。
こうした映像技術はつい娯楽、エンターテインメントの視点からとらえられがちだが、産業、医療、福祉、教育など広い分野で応用可能だと考える。世のため人のためになるVRは魅力的だ。
産業分野では都市の再開発や交通インフラの拡充をよりリアルな姿でシミュレーションができるだろう。医療分野では高い技術力を必要とする外科手術のVRトレーニングを模索している企業もあると聞く。医療以外でもトレーニングが難しく危険を伴う工場や設備のメンテナンスなどでVRは有効だ。実際の店舗をVR上に再現し、仮想空間のなかでショッピングを楽しむなどという使い方も模索されている。
新型コロナウイルス感染拡大は学校教育にも影響を及ぼした。学校行事の相次ぐ中止。なかでも修学旅行の取りやめは残念だったことだろう。もう少しVR技術が普及していれば、多くの学校でVR修学旅行が可能だったに違いない。それはそれで味気ないが。
VRの技術があれば、ゴーグルのなかに山人や河童、天狗などを再現することも可能だろう。この本を読んで強く思った。狐にまんまと騙される体験など、なんと楽しいことだろう。もちろんその際のVRゴーグルは馬のお尻のカタチであるといい。

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