2020年7月15日水曜日

内田百閒『百鬼園戦後日記I』

3月からはじめた在宅ワークも4か月になる。
出かける用事もないことはないが、用件が済むとさっさと帰ってくる。はやく帰れば、犬たちと散歩にも行けるし、シャワーを浴びて、ビールを飲んでのんびりできる。
仕事場には在宅ワークではない社員もいる。仕事がなくても出社せよという。テレワークをしていると業務日報を毎日提出する(場合によってはまとめて週報)。仕事をまったくしていないわけではないので、日報などはその日こなしたことや明日以降の予定を書き込めばいい。難しいことではない。人によっては、こういう文章を書くのが不得手な人もいて、通勤したほうが楽だと思っていることだろう。
困ってしまうのは、テレワークだからといってやたらと増えるメールである。在宅ですから毎朝これこれを報告してくださいとか、業界紙にこんなニュースが出ていましたなどといったメールが来る。あきらかに慣れない人が配信していることはそのタイトルを見ただけでわかる。【おしらせ】とか【あらためてのお願い】とか【6月からの働き方】について、などなど何のためにカギ括弧をつけているのかよくわからないものが多い。一時的な流行なのかもしれないが。そもそも業界紙の記事を転送されても困る。業界のキーパーソンからこっそり仕入れた情報でもなく、すでに公開されたものを送られても痛いだけである。
ここのところ、寝る前の楽しみとして百閒先生の日記を読んでいた。
戦後の窮乏期、先生が誰それからお酒や麦酒をいただいたか、どのような経緯で印税を前借したかなど、克明に記されている。まことに先生らしい一冊である。先生らしいということは、すなわち人間味あふれるということである。
新型コロナウイルスだ、テレワークだ、ビデオ会議だとふだんしたことのないことをはじめると人はあたふたする。笑ってしまっては失礼かもしれないが、非常事態によって思いがけない人間味にふれることができた。

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