2019年5月7日火曜日

村上春樹『騎士団長殺し』

平成から令和に変わり、ふたつの時代をまたぐように大きな連休があった。どこへ行くともなく10日間が過ぎていった。
水餃子を食べに出かけた。横浜中華街で簡単な食事をして、伊勢佐木町あたりにあったであろう中華の店を散策しながらさがしてみようと思った。
この時期はまだ完全な春にはならない日が多い。気象予報士なら上空に強い寒気が流れ込み、大気の状態が不安定なると言うところだろうが、一般人の立ち位置からすると要するにまだ冬の名残の残っている春なんだと無理矢理納得するしかない。お店を出たところで雲行きがあやしくなる。雨がぱらつき、やがて稲光とともにヒョウが降ってきた。
一時間ほど雨宿りしているうちに小やみになり、陽が差してきた。関内から伊勢佐木町、横浜橋あたりを歩く。以前からさがしていた中華料理店のあったあたり。その店は近くに移転したのち、取り壊されて更地になっていた。
中華一番本店。今のところ考えられる店はここだけだが、今となってはたしかめるすべがない。もしかしたらここではなかったかもしれない。ここだったかもしれない。さがしていた店は結局おぼろげな記憶のなかにおぼろげなままとどまるのだろう。
帰りは𠮷田町、野毛を歩いて桜木町に出る。暖かかった午前中とは比べ物にならないくらい肌寒い夜になった。
大型連休のあいだに読もうと思っていた村上春樹の新作(といってもすでに文庫化されている)を平成のうちに読み終えてしまった。休みがどことなく手持無沙汰なのはそのせいもある。
村上春樹の物語も少しずつ変化している。主人公は妻帯者で(『ねじまき鳥』もそうだったが)、今回はきょうだいが登場する。職業はあいかわらず社会から隔離されているのとロールプレイングゲームのようなストーリー展開は変わらないけれど。
というわけで連休はリヒャルト・シュトラウスやセロニアス・モンク、ブルース・スプリングスティーンを聴いて過ごすことにした。

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