2019年2月18日月曜日

博報堂ブランド・イノベーションデザイン局『博報堂のすごい打ち合わせ』

博報堂はユニークな立ち位置を貫いている広告会社のひとつだ。
大学卒業後、数年間電通に勤務した叔父が広告をつくるのなら博報堂に行きたかったと言っていた。彼は将来絵を描く仕事に就きたいという夢があり、元博報堂より元電通の方がつぶしがきくという理由で電通を選んだという。たしかにその後イラストレーターになったのだけれど、その真偽は今となってはわからない。
それはともかく、独自の生活者発想で研究を重ねたり、自社のビジネススキルをまとめて書籍化するなど、博報堂の生き方は素敵だ。ためになる。
ずいぶん昔のことだが、博報堂で1時から打ち合わせだというので田町あたりでお昼を食べてから指定の会議室に向かった。誰もいなかった。中止になったのかと思った(携帯電話はまだ普及していなかった)。後で聞いたら13時ではなく、夜中の1時からだった。
博報堂の打ち合わせはすごいと思った。
今でも印象に残るのはI田さんというクリエイティブディレクターと組んだテレビコマーシャルの企画提案作業である。本書でも書かれているが、I田さんも雑談が得意だった。はじめて顔を合わせたときからよくしゃべっていた。
最初にもらった宿題は、今回の提案(プレゼンテーション)に名前をつけようという課題だった。ひとり100案考えてこようということになった。博報堂では何百というアイデアを紙に書き出して、壁に貼るという話を以前から聞いてはいたが、本当にそんなことをするんだとびっくりした。
働き方をどうたらこうたらしなくてはいけない時代になっている。夜中に集まって打ち合わせをすることも少なくなっているのではないだろうか。雑談なんかに時間を使っていないで要点だけポンポンとまとめて、じゃ次回、みたいな味気ない打ち合わせも増えているかもしれない。
今どきの、効率のいい打ち合わせもあるだろうが、ほぼ無駄になるようなアイデアをかき集めてのぞむ打ち合わせも楽しい。いい経験をさせてもらった。

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