2022年12月20日火曜日

夏目漱石『彼岸過迄』

ワールドカップカタール大会。
3位決定戦と決勝をテレビ観戦する。サッカーについてはくわしく知らないが、さすがに世界の頂点に近づけば近づくほど、技術面のみならず、メンタルやフィジカルの強さが際立って見える。これが日本代表が見たかった「景色」なのかと思う。もちろんくわしいことは知らない。にわかファンのつぶやきである。
とりわけ決勝戦のアルゼンチン対フランス。さらにあと30分延長しても勝敗はつかなかったのではないかと思えるような試合だった。ワールドカップの決勝戦なのだから歴史に遺る好ゲームであるのは当たり前なのかもしれないが、1秒たりとも目の離せない120分だった。結果的にはPK戦となって、運を味方につけたアルゼンチンが勝利した。こうした素晴らしい歴史を人々の心に刻むためにワールドカップという大会は存在しているのだと思った。
最近少しずつ読むようにしている夏目漱石。主人公が歩く町を思い浮かべながら読む。
漱石って東京の人なんだなと思う。『三四郎』の谷中、『それから』の代助が住む神楽坂、『門』の宗助が住む崖下の家はおそらくは雑司ヶ谷だ。
この『彼岸過迄』にもさまざまな地名が登場する。敬太郎の下宿する本郷、須永が住む小川町。田口は内幸町、松本は矢来町に住んでいる。それぞれが車(人力車)、電車(路面電車)で往き来する。もちろん歩いても移動できる距離である。東京は狭かったんだと思う。その昔、東京市は15区からなっていた。その後市域が拡大され、東京35区が誕生する。今の23区と原形になる。
冒頭から登場する敬太郎が主人公かと思いきや、実際は田口市蔵だったりする。どっちが主人公かと思わせるところは漱石がしばしば使う手である。
神田小川町から矢来町へは、靖国通りを歩いて飯田橋に出て、神楽坂を上るんだろうなと想像しながら、神楽坂から榎木町方面に歩いて漱石山房に立ち寄るのもわるくないと思った。

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