2019年3月15日金曜日

中条省平『世界一簡単なフランス語の本』

フランス語を勉強しようと思った。19か20歳か、多分そのくらいの頃。
大学ではドイツ語を第二外国語として履修していた。どうしてフランス語を学ぼうとしたのか今となっては定かでない。フランス映画を観たいとか、そんな動機だったかも知れない(当時映画は年に一本観るか観ないかだったけれど)。
御茶ノ水のフランス語学校に通うことにした。アルバイトで稼いだお金の使い途もなかった頃のこと。入門コース、初級コースを経て、中級コースで一気に難しくなり、バイト代も尽きて挫折した。それでもフランス映画を観るくらいのことはできるようになった、もちろん日本語字幕付きならば。
フランス語はある意味簡単で、ある意味難しい。綴りに対して発音が規則づけられているから、文字を読むことが容易。動詞の活用も不規則な例外があるものの、ひどく混乱させるようなこともない。難しいコミュニケーションをしなければ難しい言語ではない。フランス映画の日本語字幕を自在に読める僕が言うのだ。間違いない。ただフランス語を喋る人は難しいことを好む。「もし君が猿だったら、首に紐をつけて芸をさせるのに(君は人間だからそんな真似はけっしてさせない)」みたいな言い方をする。これは文法的にも高度だ。
せっかく勉強したフランス語だからとたまにはシャンソンを聴いたり、初歩の読本を眺めたりする。貧乏くさいとは思うが、そういう性分なんだから仕方ない。
この本はフランス語の簡単なところだけを巧みにひろっている。ああ、こうやって大学などでおそわったらもう少し身についたかもしれない、と思わせる。もちろんテレビ(Eテレ)の講座もなるべくわかりやすくわかりやすく構成されているが、わかりやす過ぎて達成感に乏しい気がする。
小難しい文法にまで引きずり込む続編が出たら、この本は100パーセント完璧だ。サンプルソン、パルフェ!である。
いずれにしてもたいして身につかなかった僕の感想だから説得力はない。

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