2018年9月8日土曜日

林真理子『西郷どん!』

NHKの大河ドラマはたまにしか視ない。というかほとんど視ていない。
最初に全部視たのは「新・平家物語」だったと思う。次いで「新選組!」、そして「花燃ゆ」と通しで視たのは自慢じゃないがこの三本。
C書房に高校時代の友人がいる。文学少年、文学青年を経て出版社に勤務しているだけあって、「樅の木は残った」も「花神」も視ていたという。1970年といったら「巨人の星」と「あしたのジョー」くらいしか僕はテレビを視ていなかった(少なくとも記憶にあるのはその程度である)というのに恐ろしい友である。
大河ドラマというのは大河ドラマというだけあって、キャストもたいへんである。今回の「西郷どん!」は大河ドラマ初登場の鈴木亮平が西郷吉之助役だが、大久保一蔵役の瑛太は「篤姫」では小松帯刀だった。そのときの西郷は小澤征悦。「花燃ゆ」では宅間孝行。そんなことを言ったら今回の坂本龍馬は小栗旬だが、「龍馬伝」では福山雅治、「篤姫」では玉木宏、古く「竜馬がゆく」では北大路欣也だった。
きりがないのでこの辺でやめる。
小説の世界も似たようなものかもしれない。西郷吉之助を主人公にした作品はこれまでいくつもあった。歴史小説を書き続けてきたわけでもない作者が幕末維新の英雄伝を書くにはそれなりの覚悟もあっただろう。
先述のとおり大河ドラマはほとんど視ていないが、林真理子の本も一冊も読んだことがない。読んでみたいと思う作品は何冊かあったにはあったけれど手にとって目を通すまで至らなかった。今回はじめて読む作家である。
読みにくくないというのが第一印象である。読みやすい作家もいれば読みにくい作家もいる。読みやすい人だとするする読めて、後味がわからないこともある。むしろ読みにくい方がちゃんと読むから少しは何かが残るのだが、やはり読みにくいものは読みにくい。
その点読みにくくない本はありがたい。
ドラマではずいぶん脚色されているが、原作はすっきりしている。それもよかった。

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