2015年5月22日金曜日

アンナ・カヴァン『氷』

ツイッターでちくま文庫をフォローしている。
売れている本があると次から次へとリツイートされる。タイムラインはその本の話題一色になる。その展開に引きこまれていくだとかわくわくするだとか一気に読んでしまったなどといった個人の感想だ。これらのツイートを読んでいるだけでこれは読まないといけないかも、という気にさせられる。
その一冊がアンナ・カヴァンの『氷』だった。
SNSで流行っているから読むというのも動機が薄弱だが、本との出会いなんてそんなものだろうとも思う。もちろん著者に関する知識はまったくなく、まるっきり無防備の状態で読了した。
その後ネットなどで調べてみるとアンナ・カヴァンはイギリスの小説家で幻想文学またはSF小説と分類される作品を残しているらしい。生涯にわたって精神を病み、薬物などの依存もあったという。またフランツ・カフカの強い影響を指摘する記述も見られる。
生まれは1901年フランスのカンヌ。20世紀初頭のカンヌがどのような町だったか想像もできないが、映画祭がはじまったのが1946年。世界的なリゾートになる前の海辺の小さな集落だったのではないだろうか。カンヌには行ったことがあるのでカンヌ生まれという点に関しては妙に反応が鋭くなってしまうのだ。
さて本の中身なんだが、読んでみてもさっぱりわからない。どういう時間軸で展開されているのか場所はどこなのか(具体的な地名はまったく出てこない)。数少ない登場人物である少女も長官もどんなキャラクターなのか雲をつかむようである。氷というのは何もメタファーなのか。読みすすめているうちに何かわかってくるかと思うとそういうわけでもない。どきどきわくわくしながら読んだ読者も多いようだが、どこをどう解釈すればこの世界に引き込まれるのか、ちょっと理解に苦しむ。もちろん誰かに説明してもらおうとも思わない。わからないものはわからない。これでいい。
これもあくまで個人の感想である。

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