2011年8月9日火曜日

佐々木俊尚『キュレーションの時代』


甲子園がはじまって、強豪同士の組合せが予定されている日は少しそわそわする。この時期ラジオは手放せない。
テレビ観戦していて、いたたまれなくなって新幹線に飛び乗ったのがもう5年も前のこと。その日は準々決勝の2試合を観た。西東京の早実が日大山形に8回裏の集中打で逆転した試合と初出場の鹿児島工が福知山成美を延長戦で破った試合だ。甲子園は熱い球場だった。
キュレーターという言葉をはじめて知った。
美術展のパンフレットのクレジットでたまに見かける程度で身近な言葉じゃなかった。そこらへんをきちんと説き明かしてくれるちくま新書に感謝だよ、豊島。
平たく言うと膨大な情報のなかからある尺度に則って取捨選択し、その意味付けと共有をはかることということだそうだ。
筆者はIT関連のオピニオンリーダーであり、今世の中的にはもっとも注目されてしかるべきライターである。ひとつのことを解説するのに、巧みに言い換えながら繰り返し説いてくれるところがうれしい。多少難解なところがあってもそのまま読みすすめていけばなんとなくわかるところがいいのだ。表現に幅がある。ジスモンチ、『ハングオーバー!』、田中眼鏡本舗、フォースクエアなど事例の挿入も見事。
こういう肩が凝らないで新しい知識に触れられる書物に出会えるのは本当に爽快だ。
ちょっとほめすぎかな、豊島?

2 件のコメント:

  1. ちくま新書ほめてくれてありがとう。うちの若手が一所懸命つくりました。キュレーターは細野不二彦さんの傑作漫画「フェイク」で美術関係の仕事としてはなじみ深かったんだけどね。今週久しぶりに実石からメールをもらったのでこのブログのことはお知らせしときました。

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  2. 豊島、コメントありがとう。結果的に読み終わったらちくまだったってことも多いし、カポーティとかヘミングウェイとか、文庫も目の付けどころがいいなと思ってる。新書は中公が好きだけどちょっと各社乱立気味で本当にいい企画がないと難しい世界かなって思うよ。

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