2011年4月6日水曜日

川本三郎『私の東京町歩き』


1ヶ月ほど前、三の橋にある笑の家という店でラーメンを食べたあと、久しぶりに魚藍坂あたりを歩いてみた。
古川橋から魚藍坂は四谷見附から品川に行く都バスのルートで学生時代、アルバイト先の広尾からの帰り道によく通った場所である。
昔、急だと思った坂道がその後思ったほどの急斜面ではなかった、ということがときどきあるが、こと魚藍坂に関しては昔も今もきつい坂だ。魚藍坂下から伊皿子まで上っただけでちょっと汗ばんでしまった。
伊皿子を右に折れると二本榎の商店街である。二本榎という地名はもう地図上からはなくなってしまっている。六本木の今井町とか、赤坂の丹後町のような感じだ。それでもしばらくはこの商店街とほぼ平行している桜田通り(第二京浜国道)の明治学院近くの歩道橋にはたしかに“二本榎”という表示があった。
その商店街を都営地下鉄浅草線の高輪台駅まで歩いて、そこからさらに東京メトロ南北線の白金台駅をめざした。
桜田通りから目黒通りへ、ちょっとした裏道探検だ。
品川区の北のはずれ東五反田、上大崎と接する港区の南端白金は思いのほか薄暗い路地で隔てられている。高低差もあって、アップダウンがきつい。歩いた日がちょうど小雨模様だったせいもあり、ちょっとした秘境気分を味わえた。
川本三郎のこの本は、もう古典といってもいいであろう比較的初期に書かれた町歩き本である。おそらくこの当時はまだまだ東京に昭和の面影が色濃く残っていたに違いない。返す返すも昔はよかったねと思わざるを得ない、そんな一冊だ。

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