2009年8月5日水曜日

大野茂『サンデーとマガジン』

週刊少年誌の歴史は浅い。まだ50年だという。おいおいそれってぼくと同い年じゃないか。
たしかにぼくの小さい頃は月刊誌が全盛だった。
倹しく育ったぼくの唯一の楽しみは月に一度近所の川上書店のおじさんがカブに乗って届けてくれる『少年』という月刊漫画雑誌だった。母は、ぼくが本と絵が好きだったのと自分の弟が美術大学に通っていたこともあって、漫画雑誌に関しては寛容だった。
当時の『少年』は「鉄腕アトム」と「鉄人28号」が連載されているひと粒で二度おいしい雑誌だった。
その後、小学校に入ってから『少年画報』に鞍替えしたが、定期的に漫画雑誌購読をするのは低学年のうちに終わった。週刊少年誌はその後ときどき眺める程度の存在だった。ぼく自身その後漫画に興味を持たなくなったから。それでもやはり当時の漫画誌はぼくら少年社会の中でパワフルな存在だった。
ぼくの記憶に残る週刊誌の漫画といえば、マガジンでは「巨人の星」、サンデーでは「サブマリン707」かな。
サンデーの元編集長がこんなことを言っていた。
「僕たちの時代は、本当の意味でのマンガの編集者なんて誰もいなかった。小さい頃はマンガなんてほとんどなかったんだしさ。誰もが手探りの中から、ことを成し遂げていったんだ」
これはテレビのなかった時代に育った人たちが手探りで番組やCMをつくってきた黎明期のテレビ制作者の世界にも通じる深い言葉だと思う。

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