2008年7月3日木曜日

杉浦日向子とソ連編著『ソバ屋で憩う』

犬か猫かという嗜好の問い方があるのと同じくらい明快な区分けの仕方としてそばかうどんかという問いかけがある。もちろん迷わずそばである。
昼間ちょっとした隙をねらって、そば屋に行って、熱燗とかまぼこを注文する。これぞ至福のひとときである。
銀座界隈なら「よし田」、「さらしなの里」、麻布界隈なら「永坂更科布屋太兵衛」、「堀川更科」、赤坂界隈なら「赤坂砂場」、「虎ノ門砂場」、上野界隈なら「並木藪」、「池之端藪」、神田界隈なら「まつや」、「室町砂場」、「神田藪」、「一茶庵」、荻窪界隈なら「本村庵」、「鞍馬」…。

ぼくの中でそば屋は大きく分けて、
◆伝統系…いわゆる老舗で昼夜自在に酒が呑める
◆ブティック系…こだわりの店主がひとり黙々とそばを打つこじんまりとしたそば屋
◆町そば系…出前をしてくれる町のおそば屋さん。オフィス街や駅に近いと夜居酒屋になるところもある
◆立ち食い系…いわゆる立ち食いそば
となるのだが、案外いけてないのが、ブティック系。伝統系のそば屋で修行の末独立した店もあるが、中には脱サラして独学で店を立ち上げたケースも多い。だいたいからして値段が高く(もり・かけで700円以上)、突飛なつまみがある(そば屋のつまみは本来そばのトッピングを加工したものであるべきだ)。そんなわけでぼくが行くそば屋はおのずと伝統系になるわけだ。

町そば屋にも隠れた名店がある。半蔵門駅に程近い「麹町長寿庵」は出前で食べてもうまいそば屋だ。夕方はやめに店に行くと紋付を着た人がそばをすすっている。国立劇場の出演者が出番前に腹ごしらえをしているのだ。
赤坂見附駅近く「赤坂長寿庵」もいい。鴨せいろならここに限る。

現時点でぼくがいちばん好きなそば屋は西荻窪の「鞍馬」で、いちばん行ってみたいそば屋は山形の「萬盛庵」だ。
まあ、そば屋の話をしだすときりがない。つづきはこの本でお楽しみください。


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