2022年3月16日水曜日

村山昇『キャリア・ウェルネス』

知人の勤める会社は社員数20数名。いわゆる中小企業である。規模は小さいけれどそのぶん風通しのいい組織だとトップは自負しているそうである。
週にいちど原則全員参加の会議があるという。もちろんこのご時世だからウェブ会議システムを使ったリモート会議であろう。売上の推移であったり、昨今の業界の話題などをトップがしゃべりまくる。これも中小企業にありがちである。
先だって若年世代の離職率が高いという話題になったそうだ。新卒で働きはじめた社員の3割ほどが3年以内に辞めてしまう。どこかの企業がまとめた若手社員がやる気をなくす言葉ランキングなどを紹介しながら、そのトップは話し、入社1〜3年の社員に感想を求めたという。しかも彼らのほとんどが中途採用(第二新卒)だった。すでに離職経験のあるものたちの目の前で話すような内容だったのだろうか。新婚カップルにどういうきっかけがあったら離婚しますかと訊くようなものではないか。
まあ、なんとも風通しのいい会社だ。
この本は仕事を通じて(主に若い世代に)どんなキャリアを積ませるかを説いている。成功がある種義務付けられていた時代があった。そのために能力とものごとや人に対する処し方を身につけていかなければ取り残されてしまう組織があった(今でももちろんあるだろうが)。著者は「成功のキャリア観」と成功を得られなかった人たちが閉じこもる「自己防衛のキャリア観」といった昭和平成の遺物とおさらばして「健やかさのキャリア観」を持つことが健康に働いて生きていくために必要だという。
ふりかえって見ると僕も自分の仕事の意味をずっと見い出せないまま働いてきたような気がする。キャリアをどう積んでいくかなんて考えもしなかった。報酬とちょっとした名声のためだけの仕事。
最近になってようやく少しだけ自分の仕事の意味がわかってきた。ほんの少しだけだけど、人の役に立っているのかなということが。

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