2020年12月30日水曜日

穂村弘『にょにょっ記』

年末の、一般的にはあわただしいなか、小中で同級生だった石羽紫史からLINEが届く。
「突然ですが」
こんな時期にこんな書き出しのメッセージにはろくなものがない。
やはり同級だった大野雪絵の訃報だった。
大野とは中学に入ってから同じクラスになったことはなく、小学生の頃もさほど話をした思い出もない。僕にとっては名もなき同級生であり、おそらく彼女にとってもそれは同様だったろう。7~8年前だったか、通っていた小学校と中学校、そして周辺の学校も統合されて、新たに小中一貫校ができた。たしかその年に同期会が開かれて、地元の居酒屋に何人か集まった。そのときことばを交わしたけれど、はじめて会話をしたような感じだった。
その2年くらいあとで、母が地元の大学病院に入院して手術をした。
「大野さんって知ってる?おまえの同級生だっていうんだよ」
術後、母から聞いておどろいた。大野雪絵はその病院でヘルパーとして働いていたのである。
患者のデータ、たとえば住所や保証人の名前を見て、僕の母だとわかったのだろう。入院中はずいぶんと声をかけてもらい、励ましてもくれたにちがいない。
前回読んだ『にょっ記』に続いて続編を読んでみる。
なんでもないようなことをひけらかすのではなく、なんでもないように描いている。おもしろい。どんなふうにおもしろいかというと腹を抱えて笑いころげるようなおもしろさではない。遠赤外線の暖房器具のようにおもしろい。こういうおもしろさこそたいせつにしたい。どうやら続々編もあるようだ。
通夜は大田区の海に近い斎場で営まれた。父を送ったところでもあり、訪ねるのはそれ以来ということになる。東京モノレールの駅からずいぶんと歩く記憶があったが、数分でたどり着いた。大野は祭好きで、町会の神輿を毎年担いでいたという(今年は残念ながら中止なったと聞いている)。石羽もその仲間であるらしい。そろいの半纏を来た人が大勢列をつくっていた。

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