2019年10月24日木曜日

田口まこ『伝わるのは1行。』

ラグビーワールドカップが盛り上がりを見せている。にわかファンも増えているという。僕もそのひとりだ。
以前、西武新宿線の沿線に住んでいた頃(10年以上前になるかと思う)、早稲田大学の上井草グラウンドが近かったので土日、時間があると観に行った。関東対抗戦に出場するAチームの試合はなかったが、Bチームによる関東ジュニア選手権、Cチーム以下の練習試合を観た。ラグビーは単純でいて複雑、複雑なのに単純な競技である。前に進むか後ろに下がるかというシンプルに図式化されている。そのルールにそぐわない行為が反則とされる。テレビで視ているとわかりやすいが、現場で観ていて、しかも反対側のサイドで起きたルール違反はなかなかわかりずらい。毎週のように通っていると思われる隣席のベテランファンが「オフサイドだ」とか「ノットリリースザボール」などとつぶやいてくれるのを耳をそばだてながら観戦していた。
本書はコピーライターをめざす人のための本ではなく、コピーライターの経験を通じて得た文章技術を広く伝える著書である。
最近はどうだかわからないが、広告制作会社ライトパブリシティは、以前コピーライター募集と銘打って未経験者を募集していた。著者もきっとそんな未経験者のひとりだったのではないだろうか。この本を通してうかがえることは、ライトパブリシティが如何にしっかりと未経験の新入社員を教育したかということだ。おそらく著者は「心に刺さる1行」のために日頃から丹念に「絞る」「広げる」「選ぶ」「磨く」を繰り返してきたのだろう。著者の身に付き、血肉となったコピーライティングの方法論が簡潔明快、具体的実践的に語られている。コピーライターではなくても、コピーライターの思考回路や気持ちがよくわかる。
SNSや企画書などで文章を書かなければならないテキスト難民にとって「プチ」役立つ一冊に違いない。
それにしても日本代表のベスト8はたいしたものだ。

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