2015年10月5日月曜日

司馬遼太郎『竜馬がゆく』

8月の終わりに、仕事でお世話になっている勝どきさん(もちろん仮の 名前だ)と久しぶりにお昼を食べた。
炭水化物を控えるダイエットに取り組んでいるという。ご飯は食べずに、刺身や鯵フライ、さらにはホヤなどつまみばかりを注文してビールを飲んだ。夏の終わりの昼ビール。勝どきさんは何年か前から剣道を習っている。肩を痛めていて、しばらくゴルフはやっていないそうだが、天然理心流の道場へは通っているという。新選組の大ファンなのだ。
江戸幕末〜明治維新を学びたいと思っていたので、その手の話なら相当くわしいであろう勝どきさんに何かおすすめの小説ありませんかと訊いてみた。火に油、駆け馬に鞭、帆掛船に魯。そこから俄然エンジンがかかった。
まずは『竜馬がゆく』、次に『燃えよ剣』を読めという。
前者は倒幕派から見た幕末、後者は佐幕派から見た幕末で、この2冊を読んで、両サイドから理解すれば、幕末〜維新の基礎はじゅうぶんらしい(2冊といっても文庫本にしたら10冊だが)。
というわけで9月から黙々と竜馬を読みはじめた。
それまで坂本竜馬に関する知識はほぼなし。それがかえってよかったのかもしれない。竜馬という人物は剣の達人だとか、薩長の調停役程度の認識しかなかったが、何よりもアイデアマンなのだということがわかった。今でいうクリエーティビティに富んだ人物なのである。
それにどこまでも強運の持ち主だ。あえて危険を冒す。敵陣に単身乗り込んでいく。こうしたことも既成概念にとらわれない発想の豊かさがあるからだろう。
司馬遼太郎はこれまでほとんど読んでいない。
吉村昭のように史実、資料を丹念に読み込んで再構築するというよりは物語を次から次へと動かしていくタイプの作家なのだろう。読んでいるうちにそのスピードに身体が慣れてくる。ページが自然にめくられていく。ファンが多いのもわかる気がした。
それにしても昼のビールは利く。

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