2014年10月13日月曜日

博報堂ブランドデザイン『ビジネスを蝕む思考停止ワード44』

星野仙一は好きになれない野球人のひとりだ。
闘将などと呼ばれているが、それはアンパイヤーに食ってかかったり、ベンチでなにかを蹴飛ばす程度のことであり、それは闘でもなければ将でもない。
昨年日本シリーズ進出をかけたゲームで田中将大を酷使した。日本シリーズも同様だ。連投すればファンがよろこぶ。そこで登板させる。こんな理屈もへったくれもない起用を平気でやってしまうのだ。素人野球ファンに迎合する采配(それを采配と呼べればの話だが)なのだ。もしこの場面で田中が打たれたら、明日はどう戦うのか。ふつう指揮官が考える当然の思考がまったく欠如している。情に流されているだけだ。勝負師だなんでとんでもない話である。
北京オリンピックのときもそうだ。コーチに山本浩二、田淵幸一といった“おともだち”を選んでいる。観光旅行じゃあるまいし、友だち連れてってどうするんだ。彼らが日の丸をかけた戦いにどれほど貢献できると思っていたのだろうか。
今季は腰痛で戦列をはなれた。このとき辞めておけばよかった。星野仙一が尊敬してやまない“御大”島岡吉郎は車椅子でグラウンドに出てきた。星野仙一が真の闘将であるならば、這ってでもベンチにやってきたにちがいない。
ただこうしたセオリーを度外視した温情指揮官が不要かといえばけっしてそうとは言い切れまい。中央の球団では通用しないやり方も案外地方都市では歓迎される。長嶋茂雄や王貞治が日本野球の真ん中の人であるならば、星野仙一はその周縁で輝く甘いおっさんなのである。
博報堂ブランドデザインの本は好きで新刊が出るのを楽しみにしている。この本は少し前に出版されていたが、電子版が出るのを待っていた。
ずいぶん長きにわたって思考停止ワードを使ってきたなと感慨深く反省しながら読み終えた。

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