2014年8月21日木曜日

佐々木紀彦『5年後、メディアは稼げるか』

8月のお盆は南房総で過ごす。
今年は新盆ということでいつもよりはやめに出て、いつもより長く滞在した。
南房総の父の実家は就学前から夏を過ごす場所だった。7月も末になると祖父が上京してきて、姉と三人で両国駅発の列車で千倉に向かう。冷凍みかんを食べながら、何時間もかけて旅をした記憶がある。たいてい漫画雑誌を一冊持っていく。2週間もするともう読むところがなくなる。
砂浜までは歩いて5分ほど。子どもの頃はもっとずっと遠かった。浜で泳いだり、磯で貝を採って日を過ごした。この地方で「しただめ」と呼ぶ小さな巻貝である。茹でて針などでくるくるっと巻きとって食べる。美味だ。
よく東京より涼しいんじゃないかと訊かれる。昨今の猛暑の日はどこにいたって暑いが、朝晩心地いい風が吹く。ただ、風は塩を含んでいるためか重たい。東京に戻ると風に質量がなくなるのを感じる。
新聞や雑誌、テレビなどのメディアがデジタルにのみ込まれると言われ、もう10年近くなるだろうか。かろうじて紙媒体の新聞も雑誌も存在してはいるけれど、それ以上にウェブメディアの進展がめざましい。著者は「東洋経済オンライン」の編集長としてPVを飛躍的に伸ばしてきた。新聞や雑誌のデジタル化、ウェブ化はあちこちですすめられているが、思いのほかうまくいかないことが多い。この本にはデジタルメディアに必要なものを従来メディアと対比させながら、丁寧に説き明かしている。
この本の中で「ナナロク世代」という1976年前後に生まれた世代が紹介されている。ネットと紙の世界、固定電話と携帯電話の世界、昭和と平成の世界の双方を体で知っている世代だという。その10歳くらい下までが「両生類」、さらにその下、26歳以下が「ニューメディア世代」、38歳以上は「オールドメディア世代」と著者は分類している。
オールドメディア世代の僕がこの本のよさを伝えてもなかなかうまく伝えきれない。松岡正剛の千夜千冊でも参照していただく方がいいだろう。

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