2012年9月26日水曜日

常盤新平『池波正太郎の江戸・下町を歩く』


6月からはじまった案件がようやく納品に漕ぎ着いてひと段落した。
9月中旬というリミットがまえもって決められているなか、すったもんだがあって、まあなんとかなったわけだ。納期に追われ、途中のチェックでなんどもひっくり返され、文句を言われなどということは仕事をする上でよくあることではあるが、今回はやけに疲れた。
たぶんこの暑さのせいだろう。
気がついたら、オリンピックが終わり、甲子園が終わり、各地で新人戦が始まり、関東学生卓球リーグが終わり、東京六大学野球が始まり、いろんなものが始まって終わっていった。よく昔流行った歌をラジオで聴いたりすると当時をなつかしく思い出しては、ああ、こんな歌がぼくの中を通り過ぎていったんだなあなどと思うことがあるけれど、それは一面的な見方であって、その当時、その歌が流行っていた時代を無為に通り過ぎていったのは実はぼく自身なんだと思う。
そうして人は齢を重ねていくのだ。
東京に残る下町風情なるものもきっとそんな流行歌と変わるものではないだろう。多くの人が通り過ぎていった町はぼくが通り過ぎていった町でもある。
常盤新平は散歩好きな作家・翻訳家であるが、決してプロフェッショナルな散歩作家ではない。池波正太郎の登場人物の視点を借りて、自身と町の距離を巧みに縮めている。
散歩にいちばん必要なのは適度な水分補給と想像力だ。

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