2010年11月9日火曜日

須田和博『使ってもらえる広告』

先週、横浜の野毛で飲んだ。
昭和さがしの旅をテーマに東京下町をはじめ、散策しては酒を飲んでいるクリエーティブディレクターKさんとツイッター上で意気投合。横浜なら野毛だろうと話がまとまり、野毛ツアーが実施されたというわけだ。
一軒めは野毛といったらこの店といっていいであろう武蔵屋。運よく席を確保でき、お酒3杯限定でありながら、酢漬けのたまねぎ、おから、たら豆腐、納豆を堪能。酒飲みに生まれてよかったと思えるひとときだった。
二軒めは中華三陽。ここはチンチン麺と独自のキャッチフレーズ戦略で知られた店。実は萬里の餃子にも心引かれたところはあったのだが、Kさんがまだチャレンジしていないということでこちらを選択。餃子がうまかった。紹興酒もあっという間に空いた。
三軒めはいよいよ野毛の本丸、都橋商店街。地元で支社長をしている友人から教えてもらったスナック浜へ。ここでKさんの、いかにもものを書く人だなあと思わせる少年のような歌声を拝聴。そして4軒めは橋を渡って吉田町のスナック。もうこのあたりになると店の場所も名前も憶えていない。拙い韓国語であいさつをし、百歳酒(ペクセジュ)とマッコリを飲んで後ろ髪をひかれながら、終電せまる桜木町駅まで早足で歩いた、憶えているのはわずかにそこまでである。
広告が効かなくなっているとお嘆きの貴兄が多い中、新しい広告を模索する試みがそこかしこで行われている。とりわけ主戦場はネットの世界で、テレビCMさえおもしろければ、すべて牛耳れるってほど世の中は甘くなくなっている。
そんななかこの本は筆者の実践記である。須田和博は美大でグラフィックデザインを学んだだけでなく、さまざまなビジュアルと接してきたなかでコミュニケーションの基本をよく把握されている人だと思う。あるいは博報堂という、広告表現に真摯な姿勢を貫いている土壌が彼をそう育てたのかもしれない。
広告はメディアの似姿だという。新聞なら“読ませる”広告、テレビなら“楽しませる”広告。だったらwebは“役に立つ”広告でしょうという。なんともわかりやすい話ではないか。
久しぶりに隣に座っているCMディレクターのI君に“おまえも読んでみろよ”と手渡した一冊である。


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