2009年10月17日土曜日

ハンス・クリスチャン・アンデルセン『絵のない絵本』

仕事場のすぐ近くに平河天満宮という社がある。
小ぶりではあるが、歴史があるらしく、正月初詣に来る人も少なくないようだ。
ご近所のよしみということもあって、ときどきお参りに行く。たいていは仕事がうまくいきますようにとか、家族の無事や健康をお願いするのである。ご利益があるかといえば、案外(といってはとても失礼であるが)ある。なんとなくうまくいく、のである。
その神社の神様というのがどのような方なのか、お目にかかったこともなく、そのプロフィールなども存じ上げないのだが、想像するに、とてもいいお方なのだろうと思っている。とても感謝している。
アンデルセンというとパン屋さんな感じがするのだが、Andersenをアンデルセンと読むのは日本独自のものであってデンマーク流に読むとアナスンとかアネルセンに近いという(訳者解説より)。アンデルセンがアナスンだったら、はたしてこれほどまでに日本で愛される小説家になっていたかどうか。あのパン屋の名前はどうなっていたのだろうか。
つまらないことを考えてしまった。
夜空に浮かぶ月目線、その月が見つめ、見守る、世界の人々の小ドラマがこの小編の持ち味だ。ちょっと日本的な神様を髣髴とさせる。
とても想像力豊かな仕立てにもかかわらず、ひとつひとつのストーリーは簡潔で、あっさりしている。悪く言えば物足りない。この枠組みで世界紀行的な大長編が編まれてもいいのに、と思った。
先日長年使っていたパソコン(VAIOのtypeT90)が起動しなくなった。たまたまだいじな書類をメールで送った直後だったので大きな被害を被ったわけではなかったが、その後その書類の修正を求められ、別のパソコンで一からつくりなおさなければならなかった。
それにしてもパソコンが起ち上がらないということがこんな悲劇的な思いをともなうとは、なんとも嫌な世の中になったものだ。
真っ青な画面だけしか映し出さないディスプレイを眺めているうちに、ふとこうしてはいられないと思い、急いで平河天満宮に行った。


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