2009年7月11日土曜日

ギ・ドゥ・モーパッサン『女の一生』

モーパッサンのこの名作をぼくは長いこと避けてきたように思う。その理由は邦題。どこかしら演歌の匂いのする、ぴんから兄弟ないしは殿さまキングスを髣髴とさせるこの題名に正直、抵抗感があった。どうやら明治時代に英語版から翻訳が出されたときに『女の一生』になったそうだが、いかにもヨーロッパで爆発的な人気を誇ったベストセラーの本邦発公開というちょっとした力みが感じられるタイトルだ。もちろん訳しにくいとは思う。“Une Vie”だもんね。まあ、凡人的邦訳ならば『ある女の生涯』って感じかな。
たしか『脂肪のかたまり』のときもなんだよこの邦題って思った記憶がある。
それはともかくモーパッサンはやはり短編の名手なのかなと思うのだ。この話も短編とは言わないまでも中編くらいにはおさまりそうな気がする。とりわけ前半部の描写がぼくには長く感じた。もちろん冒頭の雨のシーンがジャンヌの生涯を暗示してるんだろうなとは思うんだけど。

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