2022年6月26日日曜日

山本有三『波』

6月だというのに突然猛暑がやってきた。
昨日、東京都心で35℃を超え、群馬県伊勢崎市では40℃を超えたという.
気象庁によれば気温が25℃を超えると夏日、30℃を超えると真夏日、そして35℃を超えると猛暑日というらしい。ここ何年か、35℃を超える日はあったけれど、6月としてはなかった。観測史上初とのことだ。6月からこんなに暑くなっては7月、8月が思いやられる。そんなことを今から思いやってもどうにもならないのだが。
暑く、日ざしも強いが、いい天気であるし、風もあるので熱中症にならないように注意しながら、JR三鷹駅南口から玉川上水沿いを散歩してみる。雨が多かったせいもあるだろう、草木がこれでもかというくらいに生い茂っている。水面はほとんど見ることができない。
しばらく歩くと三鷹市山本有三記念館がある。昭和の初期に山本有三が住んでいた洋風建築の建物である。『路傍の石』もここで執筆されたという。足もとにある小石をじっと見つめてみたりする。この建物は戦後、進駐軍に接収され、山本はやむなく転居。接収解除後は国立国語研究所三鷹分室として利用されていた。
『路傍の石』を読んだとき、突然の、あっけない幕切れにちょっとした物足りなさを感じて、別の作品を読もうと思った。他に思い浮かぶのは『真実一路』だが、まずは『波』を読んでみる。小学校教諭である主人公は吾一の担任を思わせる。昔の教師は勉強を教える存在以上に子どもやその親だけでなく、地域の悩みに向き合っていたのではないだろうか。今も昔も教師という職業はたいへんだったのだ。
記念館を出て、玉川上水沿いを進む。上水は井の頭公園を横切って、久我山、高井戸方面に向かう。そのまま流れに沿って歩くと長女が通っていた高校の前に出る。が、しかし暑い。進路を左にとり、JR吉祥寺駅をめざす。動物園の前を通り、昼間から営業している焼鳥屋のにおいをかぎながら、猛暑の散歩を終えた。

0 件のコメント:

コメントを投稿