2020年10月28日水曜日

浅田次郎『帰郷』

在宅で仕事をしていると時間に追われる緊迫感がなく(それは在宅のせいではなく、性格の問題かもしれないが)、ついつい効率が悪くなる。効率がどうのこうのじゃなくて、手が遅いだけなのだが。たまにはとっとと仕事を終わらせて、映画を観に行くとかすればいいものをなかなか時間がやりくりできないでいた。
先日、ようやく時間がとれたので武蔵野美術大学の美術館まで足を運んだ。流行りの言葉でいえば「GO TO 美術館」である。
武蔵野美術大学にはなんどか行ったことがある。国分寺から単線の私鉄で行く道のりはのどかで好きなのだが、最寄り駅から大学までが遠い。玉川上水沿いの、森のなかみたいな道はなんともすがすがしいのではあるが、とにかく遠い。なんども行っているのに一向に近くならない。
上水沿いの道をはなれて、ようやく正門までたどり着く。時節柄、守衛室の前で名前を書かされる。お訪ね先はと訊かれる。行先きは美術館だけですねと念を押される。ついでに世界堂によってクロッキー帳を買おうと思っていたが、言いそびれた。
美術館では「イラストレーションがあれば、」と題される展示(10/24終了)が行われていた。日本のグラフィックデザインの勃興期ともいえる1960年代以降のポスターや雑誌の表紙になったイラストレーションが多く展示されていた。
浅田次郎はひさしぶりに読む。というかそれほど多くを読んでいるわけではない。戦争から帰還した男たちの物語である。これは僕だけの印象かもしれないが、この作者は短編より長編の方が味わいが出るような気がする。同じようなテーマの長編小説はないものだろうか。
で、帰りは単線電車の旅をあきらめて、大学の前から国分寺駅行きのバスに乗った。
国分寺駅は崖に沿ってつくられている。北口が崖の上で、南口が崖下。かつて国分寺駅の北口駅舎は木造だったような気もするが、そんな風景ももうすでに遠い遠い記憶のかなたである。

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