2016年2月6日土曜日

スティーヴンスン『宝島』

実家近くにある区のセンターで水墨画の教室があるという。
母の知人も何人か通っているらしいが、聞くところによると昔、僕の母校(小学校)で教鞭をとっていた女性が隣の区から通われているという。母に言わせるとその先生が僕のことをよく覚えていてちょくちょく話題にしてるんだそうだ。
最初のうちは誰だろうと思っていたが、小学校の6年間で女の先生だったのは3~4年のときだけだからそのときの担任の先生にちがいない。隣の区から通っているって、田園調布の方かなと母に訊くとそんなことを言ってたという。まちがいない。当時担任のA先生ないしはY先生だ。
AとYでは大ちがいだが、たしかその頃結婚されて苗字が変わった。A先生からY先生になったのか、あるいはその逆か。そのあたりは思い出せない(以下、仮にY先生としよう)。
Y先生はあるとき体調をくずされて、ほぼひと月近く休んでいた。同級の誰かがある日お見舞いに行こうと言い出した。住所はわかる。最寄駅もわかる。ということで男子生徒有志で相手の迷惑もかえりみず、電車に乗って行ったのだ。
駅に着いてからがたいへんだった。はじめて降りる駅。地図はなく、所番地を記した紙切れ一枚だけ。街区表示板だけをたよりに延々とさがしまわった末、ようやくたどり着いた。突然十人くらいの男子生徒に押しかけられて先生もほとほと困ったことだろう。
お菓子をいただき、庭の芝生で遊ばせてもらった。記憶に残っているのはそのくらいだ。
この頃主に読んでいた本はポプラ社の伝記だった。
その後、冒険ものや怪盗ルパンが好きになる。そのなかでもしくりかえし読んだのは『宝島』だ。自分で模写した地図を手に読みすすめた。
光文社古典新訳シリーズにこの一冊があるのを知り、あらためて読んでみる。何十年ぶりだろう。地図も載っている。遠い記憶が呼びさまされる。ジム・ホーキンスに久しぶりに出会う。
冒険小説にめざめたのは、Y先生の家をさがしまわったあの日だったのかもしれない。

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