2012年12月15日土曜日

村上春樹『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 』


その人と会うともやもやした気分を忘れて、すっかり頭が冴えてくる、そんな友人がひとりいたら人生は幸せだと思う。
かつてそんな友人がいた。過去形でいうのもおかしな話だが、いまは遠くに住んでいて、おいそれとは会えないので便宜上過去形にしただけだ。仕事でいくつも宿題を抱えているときでもその人と会って、散歩したり、お酒を飲んだりするだけで気分がやすらぐ、嫌なことを忘れられる、頭の中がリセットされて、そのあとからいろんなアイデアが湧いてくる。そんな友人だ。
今年の夏は比較的プレッシャーのかかる仕事を任されて、辛い日々を送った。持ち前の、どんなときも達観するゆとりが失われた。こんなとき、あの人に会いたいと思うのだ。
小説家のなかで比較的だけどそんな友人の代わりになってくれるのが村上春樹だ。『1Q84』以降はそれほど読んでいなかったので(おそらく『雑文集』、『やがて哀しき外国語』、『走ることについて…』、『神の子どもたちは…』くらいじゃないか)、打ちのめされた日々から復興するためにまた読んでみようと思った。
実をいえば、インタビューとか対談は好きじゃない。耳で聴けばいいのになんで活字を追わなきゃいけないんだ。それにどんなインタビュアーだって村上春樹に訊くことといえばおおよそ見当はつく。それでも手に取ってみたのには理由がある。
これまで大概の小説は読んできたつもりでいたが、読み残している作品もある。それがどの本か、もうわからなくなってきている。いわば、忘れてしまった読み忘れを思い出すために読んでみたのだ。もし読み忘れがなかったら、次にどの本を再読しようかという見当をつけるため。まあ、そんな思いで読んでみた。
結論をいうと、『アフターダーク』をまだ読んでいないことが判明した。小説以外の作品はあまり積極的に読もうとは思っていなかったが、『アンダーグラウンド』はぜひ読みたいと思った。
このインタビューを読んで、気分がすっきりしたわけではない。やはりあの人に会いたいなという気持ちのほうが大きい。それはともかく次に読むのは『アンダーグラウンド』と決めた。

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