2008年9月15日月曜日

清水義範『イマジン』

秋の野球シーズンが始まった。
東都大学リーグではかつて東映や巨人でならした高橋善正が監督として率いる中央大学に注目が集まる。六大学は連覇のかかる明治と春の雪辱を期す早稲田の一騎打ちか。いずれも昨年一昨年と甲子園を沸かせた新人たちから目がはなせない。

清水義範はユーモラスでウィットに富んだ短編の名手という印象が強いが、長編も実に丁寧で、よく書かれている。
タイムスリップものはネタとしてはおもしろいのだが、時代ごとの整合性をはかったり、もろもろ辻褄を合わせたり、書き手としてはエネルギーを使う作業だと思う。清水は清水なりのユーモアと読者へのサービスを怠ることなく、「らしさ」あふれるファンタジーにしている。
奇想天外を如何にヒューマンにまとめあげるかが、映画にしろ小説にしろ、時間軸をいじる創作の決め手になると思う。その点、ラストの「ほろり」もそうだが、安心して読める佳作だ。


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