こうしたことが最近頻繁に起こる。認知症かと疑うが、以前読んだ本に「思い出せない」のはただの老化であり、認知症というのは「おぼえられない」のだと書いてあった。その本の題名は思い出せない。
テレビドラマを視ていて俳優の名前が出てこないことがある。誰それと結婚した某だなど、少しでもヒントがあれば今は便利な世の中で検索すれば出てくる。だがしかし、検索に頼ってばかりいるとそのうち何もかもが思い出せなくなりそうで少し怖くなる。
先日も今読んでいる本の著者の名前が思い出せなくなった。苗字はわかる。浅田である。下の名前が思い出せない。作品は思い出せる『鉄道員(ぽっぽや)』『地下鉄(メトロ)に乗って』の著者である。とっさに浮かぶのは彰(あきら)である。どうしたわけか昔読んで難解さしか残らなかった『構造と力』の著者が思い浮かぶ。
アキラではないが、三文字名前であることには妙に確信が持てる。特にすることもなかったのでアイウエオ順に思いつくだけの三文字名前を思い浮かべることにした。アサト、アツオ、アツシ…、イ…、ウ(これは思い浮かばない)…、エイジ、エイタ…。そうこうするうちにサ行。サトシ、サトル、サキト…、シゲル、シゲオ、シゲキ…。ここでようやく思い出す。そうだジロウだと。番号カギをいじって自転車を盗むような作業だったが、ものの15分で思い出すことができた。
先日読んだ長谷川和夫の本。だいたいこの一冊で認知症に関する基礎知識は得られる。認知症とは何か、から診断のプロセス、薬物療法、非薬物療法といった治療方法(薬の種類やさまざまなリハビリテーションまで)、予防やケアの方法に至るまで懇切丁寧に解説されている。認知症は現時点で根治不可能な病ではあるけれど、つまり全貌は詳らかにされてはいないけれど、今わかっていることがわかりやすく解き明かされている。
まさによくわかる教科書である。
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