2021年9月24日金曜日

岩嵜博諭、佐々木康裕『パーパス 「意義化」する経済とその先』

5月だったか6月だったか、とある企業のパーパスを認知させるための動画を企画した。
パーパスとは存在理由、存在意義のこと。企業が何をしているか、どうしているかではなく、なぜ企業として存在しているかを問うたメッセージである。ミッション(使命)やビジョン(めざす未来の姿)とは少し違う。これまで多くの企業が最上位概念としてビジョンを策定し、そのためのミッションを宣言し、経営計画、事業戦略を練ってきた。パーパスはさらにその上、ピラミッドの頂点に位置する。
そもそも何のためにビジネスを行うのかという視点が生まれた背景には消費者がモノを買うだけの消費者から社会をよりよくするために消費する市民に変化したことがあげられる。こうした変化を支えているのがミレニアル世代(1980~95年生まれ)、Z世代(1996~2015年生まれ)と呼ばれる若い世代である。彼らにとって企業の存在意義は株主価値最大化ではなく、社会をよりよい方向に進化させることであるという。地球環境、消費者の価値観、企業間の競争環境の変化のなかでパーパスは重視されてきている。
社会をよりよくしようという取り組みはすでに進められている。持続可能な資材を使った製品開発、使い捨てをやめて修理再生可能な製品やサービスの確立など、この本には多くの事例が紹介されている(ファッション関連が多い)。またパーパスを起点にして社会的な責任を果たす企業が従来の行政に代わって公的活動を提供することも予見されている。なかなかスケールの大きい話であるが、実現すれば世界は大きく変わっていくような気がする。
さて、パーパス動画の企画であるが、手さぐり状態であれこれ模索し、立案し提案した。残念ながら競合プレゼンテーションに敗れ、不採用だった。もう少し事前にパーパスのことを学んでおけばよかった。あまりにも不勉強であったことは否めない。
終わってみてわかることがよくある。

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