2021年3月4日木曜日

大久保真紀『ルポ児童相談所』

先日、ちょっとしたきっかけで新潟県の児童相談所に勤務する青年と話をした。
もちろんリモート。ウェブ会議システムを使った。
以前から悩みを持つ人にかかわりたいと思っていたという。中学生の頃は教師をめざそうと思ったこともあるそうだ。高校時代は心理学を学ぶことに興味を持ち、大学の先輩で福祉の仕事に就いた人がいて、児童福祉に携わる自分をイメージしたという。
相談の受理業務を担当している。いわゆる初期対応チームということか。短~中期で解決できそうなケースを受け持ち、主に保護者と面接することが多いという。子どもと直接やりとりするのは児童心理司という心理職なのだそうだ。常に複数のケースを抱えていて、優先順位をつけながら、スケジュール管理するのがひと苦労だと話す。
仕事のやりがいを訊いてみた。ひとつとして同じ状況にある家庭はなく、支援の方法も千差万別、通り一遍にはいかないが、何度か面接や支援をくり返していくうちに、光を見出したように保護者の表情が変わってくる。そんな場面に出会えることがうれしいという。子どもの人生にとって重大な局面、問題解決の場面に真摯に向き合う仕事ではあるが、支援する側として客観的に俯瞰して見る姿勢も必要だ。
児童相談所に持ち込まれたケースのうち家庭での養育が難しいとされる子どもはとりあえず一時保護所で保護される。一時保護所にいられる期間は限られているため、その後家庭に戻ることが困難な場合は児童養護施設や里親に託される。施設での生活については同じ著者の『児童養護施設の子どもたち』にくわしい。また一時保護所にフォーカスした児童相談所の仕事については慎泰俊が書いている。
もう少し日常的な児童相談所の仕事を知りたいと思うのだが、デリケートな個人情報にあふれている職場でもあり、おいそれとは見学などさせてもらえない。
この本と実際に勤務している青年の話でずいぶんイメージがひろがった。

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