2021年3月25日木曜日

今井むつみ『英語独習法』

スキーマという言葉はなかなか難しい。
この本のはじめのところで「ある事柄についての枠組みとなる知識」、「多くの場合、もっていることを意識することのない」知識のシステムと書かれている。知識を身につけるということは知っているだけではだめで、使えなくは意味がない。身体化された知識が必要になる。これは認知心理学の概念であり、IT用語としてはデータベースの構造を示すという。いずれにしてもわかりにくい。
以下、自分なりの解釈。
小さい子どもは指を使ってものを数える。たいてい10までは簡単に数えられるようになる。たし算だって2+3とか5+4などはそのうち指を使わなくても計算できるようになる。ところが6+7とか8+9となると俄然難しくなる。いわゆる「くり上がり」のある足し算だ。子どもはくり上がりのないたし算を何度も何度もくり返すうちに、5が1+4であったり2+3であったりすることに気がつく。そして10が何+何で成り立っているかも理解する。そして6+7は3+3+7、つまり3+10であるとその計算方法を学ぶ。
スキーマとはこのような知識のシステムを自ら培うことなのではないかと思った(もちろんそんな簡単なことではないが)。だから機械的に答を暗記してしまう勉強法より、考えさせるやり方は大切なのだ。
母語を身につけいくのは非常に複雑なスキーマを育てていくことである。そして日本語を母語とするものは日本語スキーマを持っている。外国語をいくら学んでも外国語のスキーマは持っていないからおいそれとは身につかない。
著者は認知科学、言語心理学、発達心理学が専門であるという。決して言語学者でもなければ英語学者でもない。外国語を身につけるためには何が必要か、どんな勉強をしたらいいのか、今までまったく知らなかったアプローチがあった。目から鱗が落ちるとはこのことである。
ところで目から鱗が落ちるとは英語では何というのだろう。

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