2005年3月7日月曜日

よしもとばなな『王国その1アンドロメダ・ハイツ』

吉本ばななを読むのは『体は全部知っている』以来かもしれない。 今回の吉本ばななは、よしもとばななである。なぜだか名前を違えている。 山に住むおばあさんと暮らしていた女の子雫石が都会に出て、奇妙な超能力者のもとで働きはじめるのだが、その環境が山で生活していたときのそれにとても近く居心地のよさを感じはじめた矢先のできごと…といったストーリーで相変わらず奇妙な主人公と奇妙な登場人物がもりだくさんだ。 おばあさんがこんなことを言う。 「神様が、何かしたくてもあっちには言葉がないから伝えられないでしょう?だから私みたいな人が代理で働いているだけで、私が何かをしているわけではないんだよ。そしてすべての仕事は本来そういうものなんだよ。」 ああ、こんなことを子どもたちに言える親でありたいなあ。 そういえば梨木香歩の『西の魔女が死んだ』もおばあさんと山で暮らす女の子の話だった。こういう想像力は女性ならではものなのだろうか。感服する。 雫石はおばあさんに分けてもらったサボテンたちをだいじに育てる。話もする。ぼくの10歳になる娘も小さいときから草花が好きでいろんな花の名前を知っているし、花屋に行くと長いこと花を見ている。この子が大きくなって、この本にめぐりあえるといいなあと思った。 (2002.9.11)

0 件のコメント:

コメントを投稿